天国のRIKI

全てノンフィクション。あなたの周りにもこんなドラマが。

RIKI

     2007/1/7

僕の名前は「リキ」、この家に拾われてきて16年になります。

一昨年の秋には川崎市の長寿犬の表彰も受けました。

僕のお散歩用の首輪にはお母さんが買ってきてくれた2.5センチ位の六芒星の水晶がぶら下がっています。

 少し足が弱ってきたのか白内障で目が良く見えなくなって来たのか、お散歩の時に道路脇のドブ板の繋ぎ目の穴に足を落っことし怪我をする事がしばしばあるようになって、「お守り」にとお母さんが着けてくれたのです。 


去年の冬までは歳のことなど気にならないぐらい元気でした。

朝はお母さん夜はお父さんと行く散歩が大好きで、リビングで飼われている僕は朝は寝室から降りてくるお母さんの足音が待ち遠しくて階段の下でお迎え、夜はお父さんが帰ってくると玄関までお迎えに跳んで行き一つの儀式をするのです。

四っつの足を少し開き気味に屈めてふんばり、尻尾を振れるだけ振り、振り過ぎて身体までくねくね曲がり踏ん張りきれない足元をばたばたさせるのです。

それを見たお父さんはどんなに仕事で疲れていても玄関の上がり口で身体を少し屈めがちに顔を前に出してくれます。

 

僕はお父さんの両肩に前足をかけお父さんの口の周りを嘗め回し、お帰りなさいの挨拶をするのです。

ひとしきり儀式が済むとお父さんは「よーし、よし、よし、もういいだろう」と玄関を上がりお仏壇のある畳の部屋へ行きます。

お仏壇の前に座りおロウソクに火を点けお線香に火を移し手を合わせます。

そして小声で「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏、ただいま」と言いおロウソクの火を手のひらで消し後ろを振り返ります。

そこには何時もならこの部屋に入ると叱られる僕がお行儀良くお座りをしています。

「さあっ、上へ行こうッ」とリビングへ促されます。僕は又尻尾を振り始めます。実は儀式の続きがまだあるのです。