天国のRIKI

全てノンフィクション。あなたの周りにもこんなドラマが。

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

5 1時間ほども経ったのだろうか、玄関のチャイムの音がソファーの後ろのホームテレホンから聞こえた。 僕は聞き慣れない音に目を覚ました。 まだ、お母さんの太腿のベッドの上に抱かれていた。 聞き慣れない音に首をもたげた僕にお母さんは、「大丈夫よ、…

僕はお父さんの運転する車の助手席のTさんが用意してくれた小さな段ボールの中にいた。 Eちゃんには自宅の倉庫へ荷物を取りに行くついでのある事も伝えてあったらしく、車は詰所から直接園内を出た。 15分程のドライブの間も、その間中差し出してくれて…

4 昼休が終わりそうな時間であったが、Tさんはまだ僕達の近くにいた。 いつもの軽トラックの後ろに1台の車が止まった。 「社長、やっと来てくれたの。」と、Tさんが声をかけた。 「Eちゃんが何匹か面倒見てくれそうじゃないか、良かったなあ。」と、お…

30分ぐらいでEさんがお店の方に戻って来た。 「すいませんでした。」と、先ず自分が持ち場を離れた事をあやまる言葉をお父さんに伝えながら、 「可愛いですよ、まだ小っちゃくて」と状況説明をし始めた。 お父さんは「でも君んところじゃだめなんだろう」…

僕達がここに来て四日目、あの日もそうだった様に良く晴れた日であった。 寒さは一段落したのかきょうは空気の冷たさはそれ程感じない。 例によって遊戯機の始業点検の機械音が、それまでの高原のような静けさを打ち破り始める。 軽トラック、ワゴン車、作業…

3 きょうも冬晴れの風の無い、日向ぼっこにはもってこいの日である。 僕達がここへ来て三日、この園芸課に勤務する10人余りの人達共すっかり慣れてしまい、昼休みは勿論この資材置き場近くで誰かが仕事をしている時はゲージの一部を開け放たれ、周りを自…

番外  『一袋の天然石』

心温まる素敵な家族の3連走を見届けた後、お父さんは店に戻り裏のパソコン室で色々と思いを巡らせた。 障害を持たれたご両親と、あの素直な優しい僕、日々の生活の中では様々なご苦労も多々ある事でしょう。でも、今日見せてくれた様な素晴らしい家族愛で困…

ちょうど僕達皆がミルクを飲み干し、飢えと渇きを満たし、傍らにいてくれたTさんにあまえ始めた頃、詰所らしきところから、Tさんの先輩で上司の園芸課主任のNさんが目を細めながらやって来ました。 「どれどれ、この子達か」とTさんの報告を確認に来たよ…

9時を過ぎると奥の方へ行く車も2、3台続く様になりました。 この遊園地は10時開園の様です。 それまでの様々な機械音は色々な遊技機の始業点検の音だった様です。 遊び疲れ、喉もカラカラになってしまった僕達はどうする事も出来ず、なんとなく又昨日一…

2 平成2年1月16日空は雲一つ無く晴れ渡った冬晴れの朝です。 気温は低く空気は冷え切り、柔らかな土の所では霜柱が5センチにもなるほどです。 7時を過ぎやっと昇り始めた日の光は、8時頃になってようやく暖かさを注ぎ始め、風が全く無かったため日の…