天国のRIKI

全てノンフィクション。あなたの周りにもこんなドラマが。

2020-01-01から1年間の記事一覧

9 アメジスト(家族愛) 2月に入って僕の食欲は少し安定している。 足の衰えは一段と進んだ感じで、一人で起き上がる事はおろか、同じ姿勢で立っている事も困難になって来た。 朝晩の食事はしっかり取れるのだが、お父さんかお母さんに身体を抱えてもらっ…

僕は以前、2歳半ぐらいの時に一度家族の介護を受けた事がある。 室内犬として育て、子供をとる気が無ければ去勢手術をした方が良いと、獣医さんに進められ、春前に僕は手術を受けた。 手術は問題無く上手く行き、すっかり元気になり、朝晩のお散歩も、家の…

8 ヘマタイト(生命力) 平成19年2月3日今日は節分である。 夜になって毎年お兄ちゃんとやっていた豆まきを、今年から新居を構えたお兄ちゃんに代わりお母さんとする事になったお父さんは、どっちが「鬼はー外、福はー内」の掛け声を出すかで少し揉めな…

7 僕がこの家に来た次の日、ここのところお母さんがとても親しくしているお友達のSEさんから、お昼前に電話が入った。 「今日は居る?」と、この時期でない土曜日には、お母さんも遊園地へ仕事に出ている事を知っているSEさんが 「おいしいパン屋さん見…

リビンクのエアコンが切られてから、2、30分もすると気温がどんどん下がり始めた。 それまで人気もあり心地よいぬくもりで一杯だったこの部屋にも、冬の厳しい寒さが顔出す。 外とは比較にならないぐらい、緩やかな冷え込みなのだろうが、それまでのぬく…

6 8時半頃に一本の電話が入った。 お父さんが出て「はいっ、分かった」と、何時も通りと思える短い応対で電話を切った。 お母さんが「二子?」と、何時も通りの会話を交わし、夫々の顔に少し安堵の表情が増す。 食後に、新聞紙の上にしてしまったウンチ騒…

5 1時間ほども経ったのだろうか、玄関のチャイムの音がソファーの後ろのホームテレホンから聞こえた。 僕は聞き慣れない音に目を覚ました。 まだ、お母さんの太腿のベッドの上に抱かれていた。 聞き慣れない音に首をもたげた僕にお母さんは、「大丈夫よ、…

僕はお父さんの運転する車の助手席のTさんが用意してくれた小さな段ボールの中にいた。 Eちゃんには自宅の倉庫へ荷物を取りに行くついでのある事も伝えてあったらしく、車は詰所から直接園内を出た。 15分程のドライブの間も、その間中差し出してくれて…

4 昼休が終わりそうな時間であったが、Tさんはまだ僕達の近くにいた。 いつもの軽トラックの後ろに1台の車が止まった。 「社長、やっと来てくれたの。」と、Tさんが声をかけた。 「Eちゃんが何匹か面倒見てくれそうじゃないか、良かったなあ。」と、お…

30分ぐらいでEさんがお店の方に戻って来た。 「すいませんでした。」と、先ず自分が持ち場を離れた事をあやまる言葉をお父さんに伝えながら、 「可愛いですよ、まだ小っちゃくて」と状況説明をし始めた。 お父さんは「でも君んところじゃだめなんだろう」…

僕達がここに来て四日目、あの日もそうだった様に良く晴れた日であった。 寒さは一段落したのかきょうは空気の冷たさはそれ程感じない。 例によって遊戯機の始業点検の機械音が、それまでの高原のような静けさを打ち破り始める。 軽トラック、ワゴン車、作業…

3 きょうも冬晴れの風の無い、日向ぼっこにはもってこいの日である。 僕達がここへ来て三日、この園芸課に勤務する10人余りの人達共すっかり慣れてしまい、昼休みは勿論この資材置き場近くで誰かが仕事をしている時はゲージの一部を開け放たれ、周りを自…

番外  『一袋の天然石』

心温まる素敵な家族の3連走を見届けた後、お父さんは店に戻り裏のパソコン室で色々と思いを巡らせた。 障害を持たれたご両親と、あの素直な優しい僕、日々の生活の中では様々なご苦労も多々ある事でしょう。でも、今日見せてくれた様な素晴らしい家族愛で困…

ちょうど僕達皆がミルクを飲み干し、飢えと渇きを満たし、傍らにいてくれたTさんにあまえ始めた頃、詰所らしきところから、Tさんの先輩で上司の園芸課主任のNさんが目を細めながらやって来ました。 「どれどれ、この子達か」とTさんの報告を確認に来たよ…

9時を過ぎると奥の方へ行く車も2、3台続く様になりました。 この遊園地は10時開園の様です。 それまでの様々な機械音は色々な遊技機の始業点検の音だった様です。 遊び疲れ、喉もカラカラになってしまった僕達はどうする事も出来ず、なんとなく又昨日一…

2 平成2年1月16日空は雲一つ無く晴れ渡った冬晴れの朝です。 気温は低く空気は冷え切り、柔らかな土の所では霜柱が5センチにもなるほどです。 7時を過ぎやっと昇り始めた日の光は、8時頃になってようやく暖かさを注ぎ始め、風が全く無かったため日の…

番外   一杯のかけそばならぬ『一袋の天然石』

これは10年程前お父さんが見掛けたステキなほのぼのした幸せそうな家族の話である。 ここは東京郊外にある遊園地、その日は松の内も過ぎた最初の日曜日で、最後の正月気分を楽しもうと多くの家族連れで賑わいをみせていた。冬真っただ中とは言え風も無く良く…

「いい加減にしなさい」と言ったお母さんだって僕にべったりで、お父さんのいない昼間は僕もべったり。 昼のテレビ観賞はソファーに座ったお母さんの太腿に頭を乗せ、お父さんも出来ない膝枕状態です。 お母さんの口癖には「この子は本当にハンサムだよ、性格…

僕が中二階にあるリビングへの階段を滑りながらあわてて昇るため、爪を立ててカシャカシャと上がり始めると「ほら、あわてると落ちるよ」と、お父さんはお尻を押してくれます。 お母さんとお父さんはここで「ただいま」のこご挨拶です。 僕がお迎えを何より…

RIKI

1 2007/1/7 僕の名前は「リキ」、この家に拾われてきて16年になります。 一昨年の秋には川崎市の長寿犬の表彰も受けました。 僕のお散歩用の首輪にはお母さんが買ってきてくれた2.5センチ位の六芒星の水晶がぶら下がっています。 少し足が弱っ…